人生を変える高校留学
楽器を弾く演奏家のプロもあれば、技術士のプロもある、主婦も主婦のプロになればいいんだって。
だから、みんな同じだと言っていました。
自分は家事なんてぜんぜんできないから、自分は主婦のプロにはなれないけれど、たまたま音楽のことを少し人よりは知っているから、こっちをやっている。
だれだって向き不向きはあるからというのです。
この子は音楽にほんとうに向かない、楽器を弾くことがこの子にとって悪い方向になってしまうとなれば、やめさせる方向にもっていくことはありました。
R子)かなり以前の話ですか、この四〇年のなかで一人だけいました。
ほんとうにいやがっていましたから、「そんなにいやだったらもっとほかのことしたら」と言って、それでこなくなったんです。
言ったあとですごく後悔していました。
それ以来、よけいいろいろなことを考5えるようになった。
うちの子たちでもそうですけど、一時期いやになるときってあるんですよ。
U)絶対ありますよね。
C)私も三歳ぐらいから始めて。
一時休んでいたのです。
それで五歳ぐらいのときに、二階で遊んでいますと、私と同じ年の子がバイオリンを習いにきているわけです。
私か休む前、最後に弾いていた曲をその子が弾いていて、どうもその子のほうか上がりそうな感じだったそのとき「もう一回やらして」と言ったら、父はやらせてくれなかった。
「」回やめているからだめだ。
やりたくなったからやる、なんていうのはだめだ」と言われて。
それで、「もうやめないから」と言ったのですが。
[やめないといってもだめだ、またそれでいやになったらやめるんだろう]と、なかなかやらせてもらえなかった覚えがあるんです。
「他人がやっていたからやろうという、そんな気持ちだったら、続けられないからやめろ、だめだ」と言われて、「そうじゃない、バイオリンがやりたいから、もうやめるなんて言わないから」と言って、ようやくやらせてもらった。
バイオリンを弾くのは好きなんです。
ピアノも。
ピアノは母にずっとみてもらっていました。
楽器を弾くのは好きだけれども、練習がきらいなんです(笑)。
絶対やめるなんて思わないけれど、練習したくないという気持ちになることはありました。
でも、そのときに父は、小さいながらも自分で決めたのなら、自分のとった行動に責任をとらなければいけない、それをすごく言いました。
きょうだいでお兄ちゃんお姉ちゃんがレッスンしているのをみていると、弟や妹のほうもだんだん始めたくなるんですね。
お母さんも「もう下の子も楽器を始めたがっているんです」と言う。
本人もやりたい、やりたいと言うのですか、ほんとうにその子がやらせてくれと、お母さんにではなく、先生に言えるようでなければいけない。
いままでだと私かいて大先生(H先生)がいたので、私にはみんな言いやすいようで言ってくるんです。
でも、「大先生のところに直接行って頼みなさい」と言うと、尻込みしてしまうんです。
そうすると「まだその覚悟はできてないようだから、もうちょっと待ったほうがいいんじゃないですか」と言います。
本人か一人で父と母のところに行って、「僕、バイオリン(チェロ)を習いたいです、教えてください」と言ったら、「よし、教えてやろう」つてなるんです。
そうなるとお子さんにも覚悟か決まるわけです。
いかに覚悟をさせるかが問題になるんですね。
それから、お母さんに「ごあいさつは」と言われて、「ありがとうございました」というのは言わせなくていい。
レッスンや合宿で練習が終わったときに、ほかの人がみんな「ありがとうございました」と言う姿をみて自然に言えるようになる。
そういうふうに仕向けるのが親であって、言いなさい言いなさいといってその場で形式的に言わせるのなら言わなくていいと言っていました。
そういう時期は音楽だって真似っこで弾いているだけで、本人も面白くないはずだと言うんです。
私か小学生のころ、外国人の先生のレッスンを受けたときに、まだ小学校四年生ぐらいですから、ぜんぜん英語も何も話せません。
そのときに父が「変な発音の英語を使う必要はない、日本人なんだから、ありがとうございましたと思えば、日本語でそう言えばいいんだ。
そうしたら相手はわかってくれる」と言われ、私は終わったあと、思いっきり「ありがとうございました」つて言いました。
U)あらゆるところですべてが教育ですよね。
そもそも楽器をさわっているときだけが弦楽器の教育ということではほんとうはないんですよね。
日常のなかから出てこなかったら音楽にならないんですが、日本人は構えてしまって、ぜんぜん違うものだと考えて分離してしまっているところかありますよね。
そうは言っても、子ども一人ひとりいろいろな個性かあるから、ずうっと続けさせるのは大変な時期というのは必ずあるわけでしょう。
乗り越えていかなければいけない時期がありますよね。
R子)ありますね。
とくに子どもの場合ですと、家族の協力というか、理解が必要ですね。
口出しせずに、見守ってくれているというのがいちばんいい。
U)練習せよとやると逆に反発しちゃってね。
すごく難しいですね、その頃合が。
基本的には自分が楽しくなかったら続けられないところがありますよね。
C)ほんとうに忍耐。
耐えるのではなく見守るのだとよく言っていました。
U)でも、それがいちばん難しいんですよね。
つい手助けして教えちゃうみたいになりますからね。
C)父もよく「イライラする」と言っていました。
逆に私かイライラしていると、「そんなにイライラしてどうする」と言うので、「だってパパもイライラするでしょう。
怒るでしょう」と言うと、「腹立つこともある。
だけどしようがない、それは」と言っていました。
R子)だから生徒も気分転換が要るし、先生も気分転換か必要ですね。
C)レッスンで同じ曲を三回ぐらいずうっと弾いていて一向に上達、変化しなかったら、違う曲に変える。
そこが発想の転換で、できるまでやらなければいけないと教え込むのか、別にその曲でなくてもよくてほかの曲でもできるのか、それを見極めるのがすごく難しいのだと言っていました。
でも、とにかく変えてみようと思ったときは変えてみればいい。
変えてもう一度戻ってもいいから。
いかに生徒をその気にさせるかというのがすごく難しい。
U)それがいちばん難しいところですよね。
C)いまの子はすぐに「できない」と言います。
楽器でもそうですね、楽器を持ったらすぐにパーっと弾けると思っている。
楽器を持って指を押さえますが、指もある程度運動性の問題なので訓練しなければ速く動かしたりすることはできない。
でも、私が弾いていると、「そういうふうに弾けないんです」と言うんです。
「あたりまえでしょう、二〇年以上やっているのよ」と生徒に言い返しますが、「動かない」と言うので、「それは動かないよ、それを動かすようにするのか練習よ」と言いますが、その練習も一ヵ月ぐらいやっていたら、バラバラッと動くようになると思っている。
「もっともっとやらなければいけないのよ」というと、[へええ、疲れちゃう]とか、すぐ「疲れる」「しんどい」。
とにかく「できない」ということをすぐに言います。
以前はできなくてもそんなことは□にしない。
父ともこれはよく話していたのですが、エチュードでもできなかったらできないなりにそのままもってくるのですが、いまの子はすぐいいわけをする。
二回弾いてみてできないと決めるのが最近の傾向です。
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